巣鴨のおばあちゃんたちにクリスマスの予定を聞いてきた
「今年のクリスマスの予定はもうお決まりですか?」そんなふうに聞かれる度に死んだ目をしていませんか?
わたしは死んだ目をしています。
何も予定がないんだけれど「何も予定がないです」と答えることすら、"寒いクリぼっち自慢"になってしまうのではとビクビクしてしまう。かといって、イケイケきゃっきゃウフフな予定があるわけでもないので八方塞がり感が半端ない。
せめて休日くらいは...せめて休日くらいはクリスマスを意識せずに済む場所に来たい。
なので、やって来ました。
曇り空の巣鴨駅に。
すがもんのおしりに出迎えられてホッと一息。ここならクリスマスを意識しないで済みそうです。
しかし、道行くおじいちゃんおばあちゃん達を見つめていると、ふと小さな疑問が湧いてきました。
「ここにいるおばあちゃんたちはいったいどんなクリスマスを過ごしてるんだろう?」
気になったので聞いてみた
きっとクリスマスなんぞに踊らされることのない地に足ついたフラットな話を聞けるだろう。勝手にそんなことを思いながらおばあちゃんたちに質問してきました。
一人目はお友達とベンチに座っていた優しそうな80代のおばあちゃん。いきなりクリスマスの予定を聞いてくる不審な女性ことわたしにも優しく対応してくれました。
突然ですがクリスマスはいつもどんな感じで過ごされてるんですか?
クリスマスは家族と過ごしますね。家でケーキ食べたりして。あとはまあ孫がほしいものを送ってあげて...。なんかよくわからないゲームを欲しがってるから。
(やばい...超充実してる...)なるほど。ちなみにクリスマスを祝われるようになったのはいつ頃なのでしょうか?
わたしたちが小さいときはそんなのなかったし、お正月のほうが大切だったから...。クリスマスは孫が生まれてからかな。自分の娘・息子のときも何もしてなかったねえ。
そう、おばあちゃんたちにとって初めてのクリスマス体験は、孫経由でもたらされるものだったのです。自分は何も貰えるわけではないのに、お金を払い続けなければいけない。まさに年金問題のようですね(適当)
思えばわたしも子どものころはクリスマスに散々オイシイ思いをしてきたわけで、今更リア充なクリスマスを過ごせなくて嘆くなんて、おばあちゃんたちにしてみれば贅沢きわまりないのかもしれません。
少しの反省を胸に60〜70代という姉妹の方にもクリスマスのご予定を聞いてみました。
突然ですがクリスマスはいつもどんな感じで過ごされてるんですか?
わたしたちに聞いてどうするの(笑)まあ家でケーキを食べるくらいね。今の子みたいにレストランで食事とかはしないかな。
(限りなく"今の子"に近いけどレストランで食事なんてしたことないぞ...)お孫さんに何か買ってあげたりとかはあるんですか?
孫はもう大きくなっちゃったからもう何もあげてないの。小さいころは散々いろいろ買ってあげたのに、「彼女ができた」とかでもうこっちにはかまってくれないの。
(カップルめ...)ちなみにお2人が子どものころのクリスマスはいかがでしたか?
わたしたちの家はお店をやってたからクリスマスツリーぐらいは飾ってたかな...。あとは靴下を枕元に置いたりね。
もちろん今みたいに派手じゃなかったわ...。あ、でも最近の子たちは家でアットホームなクリスマスをやるんですってね?
そうですね。90年代ほど派手ではないかもしれないですね。
やっぱりあの時代は異様だったのかもしれないわね。景気があんなだったからね。
やはりおばあちゃんたちのクリスマスは孫事情に大きく左右されるようです。とりあえず世のカップルはいちゃつく前にちゃんとおばあちゃんに電話をするように。
つづいて、大きめの買い物袋を下げてベンチで休憩されていた70代のおばあさんに予定を聞いてみました。
今年のクリスマスはどんなふうに過ごされる予定ですか?
もう孫も大きくなっちゃたから何もしないかな。夫とふたりで普通に過ごすわ。(孫が)低学年の時はいろいろやってたけど、やりだしたらキリがないからもうやめちゃった(笑)年金生活だから余裕もないからね...。
(自分中心のクリスマスしか語れない自分が恥ずかしくなってきた...)ちなみにご自身が小さいころはクリスマスのお祝いはされましたか?
田舎だったからクリスマスを知ったのは成人になって東京の近くに越してきてからですね。それまではお正月のほうが楽しみだったわね。新しい下着とかポックリを買ってもらって。
ポックリ?
下駄なんだけど底が少し変わっててね、鈴がついてるのよ。
By Martin Abegglen - http://www.flickr.com/photos/twicepix/4110224158/, CC 表示-継承 2.0, Link
(これがポックリらしい。己の無知を恥じました)
いろんな方にお話聞いてると、やっぱりお正月のほうが大切なイベントだったみたいですね。
そうね。わたしたちのころはね。
クリスマスってなんだか商魂に踊らされている気がするわよね。昔、教会のクリスマスに行ったことがあるけど、とても質素だった。もちろんクリスマスケーキを街でみると美味しそう...って思うけれど、本当はケーキを食べてどうのこうのじゃないのよね。
そうですよね!!!そうですよね!!!
最後はウルトラライトダウンをとってもおしゃれに着こなしたエレガントな60代の方にお話を聞いてみました。
クリスマスは夫と娘夫婦と一緒にご飯を食べますね。ケーキとチキンは買ってくるから、サラダとスープを毎年わたしが作ってるの。今年はチキンライスも作ろうと思って。主人はケチャップが苦手って言うんだけど(笑)もう作っちゃおう!って(笑)
筆者:(きらきらしたクリスマスだ...)小さいころはクリスマスってどう過ごされてましたか?
わたしのころはお金持ちのお家だとか、外国風のお家しかクリスマスを祝ってなかったわね。「クリスマス」っていう存在はぼんやりと知っていたけど、家では何もしてなかった。
実際に祝うようになったのは大人になってからですか?
大学ではクリスマスに食事に行ってるような子もいたけど、そのころは地方からでてきて貧乏だった子が多くてね。すぐに実家に帰っちゃうのよ。わたしの彼も25日には帰っちゃってたから何もしなかったわね。やっと社会人になってみんなで食事に行ったりするようになったの。
筆者:(会えずに悶々とする時間が愛を育てそうで逆にめっちゃ羨ましい...)なるほど。
もうわたしたちも年金暮らしだからね。この前も夫と買い物してて「このバッグいいなあ」なんて言ってたら、夫がどこかに行っちゃっててね(笑)
筆者:(わたしも人生一度くらいこのバッグほしいとか言ってみたい...)そうなんですか...。なんだかお二人がとても羨ましいです。
結婚はね、3人目か4人目の男が一番いいんですって。この前テレビで言ってたわ。だからあなたも頑張ってね。
ありがとうございます
そんなわけで調子に乗って計4組のおばあさま方にお話を聞いてました。
同年代でぼっちぼっち嘆いているだけでは気づかなかった"孫中心"のクリスマスのあり方が見えてきたり、おばあちゃんたちの語るお正月のきらきらした思い出にぐっときたり、やはりいつの時代もリア充はリア充なのだと淡い諦めを感じたり。"クリスマスなんぞに踊らされることのない地に足ついたフラットな話"を超えたお話に、心がいい感じに揺さぶられました。エモい。
みなさんもクリぼっち自慢に飽きたら、自分と違う年代の人にクリスマスについて尋ねてみると面白いかもしれませんよ。
おわりに
すがもんは世界一かわいい
メリークリスマス!!!